昔は、作曲家にしても演奏家にしても、伝記的事実(むしろエピソードと
いうべきかな)がものすごく影響をもってたよね。「運命はこのように
戸を叩く」「誰それと恋愛中に書いた曲だからどうのこうの」から「ナチに
迫害された」「スターリンに迫害された」まで。実は、昔の「巨匠」の
巨匠たる部分って、この手の「エピソード」の集積が結構大きいんじゃ
ないだろうか。それが大部分とは言わないけど。

で、最近はそういうのは流行らなくて「音楽自体を聴く」っていうのが主流
なのかと思ってた。ところが、やっぱりそういうエピソード主義って今でも
根強く需要あるんだよね。マズアもケーゲルも「音楽だけ」で語られることは
あんまりないし、アバドでさえ、ガンが治って出てきてから音楽が円熟味を
増しただのと言われる。

エピソード主義者の代表の山崎氏なんかの文章は面白いし、そういう聴き方
ももちろん全然構わないとは思うんだけど、マズアみたいに、音楽以外の部分
でネガティブなイメージを一度くっつけられちゃうと、それを挽回するのは
結構大変だよね。しかも「実はケーゲルをいじめてた」と「革命のときなかなか
りっぱなことをやった」だと、まあ「実は」のほうを信じてしまうだろうし。
長文スマソ。