ある時、しばらく聴いていなかったオペラのレコードを引っ張り出して
かけてみたら、スピーカーから出てきたのは醜く歪んだ音でした。
買って最初に聴いた時の、あのみずみずしいソプラノの声は、
見る影もなくザラついたものになっていたのです。
これは、まさに「ブリーディング」のなせるわざ、レコードの中の
添加剤が時と共に表面にしみだしてきて、ノイズの原因となっていたのです。
つまり、LPレコードというものには、素材に由来する、
「何もしなくても、時間がたてば音が悪くなる」という、
致命的な欠陥があったのです。