軍事アナリスト 神浦元彰氏の分析

[コメント]特に若い人に知って欲しいことは、今回の会談の主導権は完全に北朝鮮が
握ったと言うことを知ることだ。これは事前に、北朝鮮で計算されたシナリオ通りに
進められた。まず会談直前に拉致者のリストを手渡す。当然ながら、死亡者数の多さに
日本側はショックを受ける。そこで午前中はまず日本側の抗議を受ける。それから昼食
で中断する。昼食中に日本側が考える対抗策を考える。最悪の場合、日本は金正日総書記
の謝罪がなければ会談中止をするだろうと想定する。そこで午後からは、金正日総書記
自身が、拉致は自分が知らないところで行なわれた。関係者はすでに処罰した。このよう
なことは二度と起こさないと、日本に謝罪するというシナリオを作ったのである。これで
完全に会談の主導権は北朝鮮が握ったのだ。小泉首相は弁当も食べれないほどショックを
受けた。それからのミサイル発射凍結、不審船の活動停止など、日本側は中身が腐った
天ぷらを食わされたのである。午後からの会談では、拉致者死亡の多さに日本側は動転して
いたに違いない。このように重要な会談や戦闘では、主導権を握るということがいかに大事で、
そのことで勝敗の大部分が決まってしまうことを、この機会に覚えておいて欲しい。戦いの
主導権を握れば、自分の都合に場所や時間に敵を導いて戦闘ができるのである。これほど有利
なことはない。だから外務省が自画自賛しても、今回の首脳交渉は日本の負けである。会談の
主導権を握るためなら、拉致者を殺してでも自己のシナリオを完璧にする国なのである。外務省は
北朝鮮に首脳会談の主導権を奪われたことさえわかっていないだろう