いつもはこの掲示板をロムするだけで、書き込んだことはないのですが、
493の書き込みを読んで感じたことを一つだけ(書き込みがご本人で
あるかどうかはこの際あまり問題ではありません)。
コンクールに優勝した方が、次の目標を見出すのに苦んだという話は
他にも聞いたことがあります(例えば、チャイコン優勝の某さんとか)。
でも、新しい目標と思われた「聴く人が感動する」演奏が、
独りよがり(内輪受け)であると心配される必要はないと思います。
「芸術」もそれを受け取る側の「感動」も、本来とても個人的なものだと
思うからです。
音楽に限らず、絵を描く人や小説を書く人、皆それぞれ、人に認められたい、
感動してもらいたいという気持ちはもちろんあることでしょうけれども、
それ以前に「描きたくて仕方ない」あるいは「書かずには生きていけない」
ほどのやむにやまれぬ個人的なモチベーションがあって、優れた作品が
生まれてくるのだと思います。
そうした熱い情熱に裏打ちされた作品は、大変に個人的ではあっても
どこかに普遍性を備えていて、受け取る人の心を打つのだろうと思います。
つまり、「個人的なものを突き詰めると普遍性にたどり着く」のでは
ないでしょうか?
まだ若い演奏者が、多くの人の胸を打つ、独りよがりではない普遍性のある
演奏をしたいと願うこと、そこまで志を高く持つということはとても
素晴らしいことだと思いますが、むしろ、演奏者のそういった葛藤や苦しみ
――私は何のためにヴァイオリンを演奏するのだろうという根源的な問い、
でも辞められないというヴァイオリンに対する愛情、
また、作品に接した時の感情や共感などなど――演奏者が抱えているものを
演奏を通して表現してもらえれば最高だというのが聴く者の思いです。
そのような渾身の思いが込められた演奏であれば、聴く人の胸を必ず
打つでしょうし、評価は後からついてくるのではと思います。
そういう風に、現在の自分に甘んじることなく、常によりよい演奏を
求めていく真摯な姿に、人々は感動するのではないでしょうか。