クレンペラーの最大の特色は、全ての楽器が独自の存在感を持って鳴っている所だと
思う。きっちり言うとオケの響きの中に各楽器が隷属しているのではなくて、各楽器が
鳴った結果、和声にもなっているというのが正しいかも。

いわゆるドイツ系の巨匠は、オケ全体のマスとしての響きが要で、分厚い低音が特色
ではある。だけどクレンペラーの場合は、全くその逆。むしろ低音は薄い薄い。しかし
そのお陰で楽器間のパースペクティブが確保されている。

そのため、クレンペラーの良さは、再生装置が高域の抜けが良いものでないと分かりに
くい部分が多いと思う。レコードの頃は、その高域再生が一般には上手くできていな
かったから、重厚とのイメージが先行したのだと思う。だけどCD時代になって、実際の
所は、かなり響きがスカスカと言って良いほど、空間の見通しの良い指揮者で、重厚と
はむしろ逆ということが分かってきたのだと思う。

その点、チンポーコーの装置は、全体の響きがマッタリと鳴る装置だから、絶対にクレ
ンペラーの良さは出ていないと断言できる。特に、デッカ録音は、相性が良いと思う。ク
ナなどは、生々しさとマッタリ感が見事にブレンドされ最高だろう。ポーコーが、たま
に変なものを誉める時があるけど、大体「あの装置だとその演奏は、良く聞こえるだ
ろうな」と思えることが多い。

あの装置は、良いものだけど、音楽鑑賞用。かなり癖が強いので、批評家が使うべきもの
ではないと思う。ポーコーが、クレを理解できない理由は、ここにもあると言えよう。