過去の巨匠を有り難がって、物神崇拝的にクレンペラーを聴くという人は
そんなにいないと思う。現在では失われてしまった音楽を聴くのだとしても
それは「古きよき音楽」を聴くのとは少し異なる。自分は彼のスタイル
すなわち全体のバランスを崩してまでも(ある種のゆがみを孕みながらも、
また因習などを破壊しながらも)音楽の核心にむんずと踏み込んでいく演奏に、
今の音楽家には求められないものを感じるがゆえに聴き続けている。
クレンペラーは現代をネガの形で照射しているように思えてならない。