第89番ヘ長調。ちょっと薄味ですね。モーツァルトの20番台〜30番台前半の、
霊感に欠けた交響曲を思わせる。「微笑みに満ちていて」明るいが、
強い印象がない。セレナーデかディヴェルティメントから4つの楽章を抽出した
ようでもある。クイケン盤では木管のソロが「立った」音で演奏されていて、
協奏交響曲風の感じもする。好きなのは、第1楽章第2主題部の後半のメロディです。
同展開部はそれまでの時代の作品の性格が続いているのかな、と思いました。
つまり、勢いはあるがロンドンセットのような巧緻がないと感じました。

クイケンの101番に夢中になっています。これはDHM盤ですが、こちらのほうが
ヴァージンよりも録音の仕方がいいです。チェンバロの音が気にならない。

フルトヴェングラー/ベルリンの1951年の88番を聴きました。当たり前ですが、
クイケンとは別世界。独墺系古典交響曲の系譜にぴったり納まる演奏。
その限りで案外素直な演奏ですが、第1楽章展開部の終わりにかけて微妙に
アッチェレランドをかけているように聞こえ、フルヴェン印が刻銘されています。