この台風の中をアンスネス@トッパンホール聴いてきた。
もう、唖然&絶句するほど素晴らしい演奏で、降参ですた。
シューベルトのソナタ17番は構成を重視しつつ、どこかコケティッシュで
茶目っ気のある雰囲気を演出。フィナーレのロンド、どんどん速度を上げて
いくのがおもしろおかしく、楽しかった。
グリーグの抒情小曲集はタイプの違う小品を5曲。いずれも素晴らしい
演奏で、この辺から聴衆の間に「ただごとではない」という雰囲気が。
そしてショパンのソナタ3番。それまでとは一転して甘い音色でロマンティックに
時に繊細に唄う。スケルツォは軽く速く、緩徐楽章は大変深い。ポリフォニーや
対位法をどう表現するかよく考え抜かれている。フィナーレも速いテンポの中で
重厚なフォルテと流麗なレガートを使い分け、力強く進めながら大きな盛り上がりを
作っていました。お見事。音色の幅、移り変わりの美しさなどは、キーシン以上だと
思います。(キーシンとはタイプが違うので、一概に比較できませんが)
アンコールに弾いたドビュッシーの「喜びの島」も、ドビュッシーらしい急速な
楽想の広がり、場面転換などを完璧に把握し、表現していました。

総じて、作曲家や曲の雰囲気にあわせ、最適なテンポ、音色、表現を選択し
演奏を作り上げるという職人芸は超一流だと思います。感情に流されるタイプでは
なく、じっくり考えて演奏を作る内田光子系ですね。
注文があるとすれば、全体に生真面目で破綻がなく、スリルも少ないので、
何度も聞くとつまらなくなるかも、という点くらいです。めちゃくちゃ指が動きますし
十分に派手な表現もできる人なので、もう少しヴィルトゥオジティを強調しても良いと
思うんですが。今日の演奏会を聴いた感じでは抑制された表現を重視するタイプらしい
です。まだ30歳そこそこなので、いろいろ冒険しても良いと思うのですが・・・。