それに対してハース版のブルックナーはというと
第8交響曲は一応、第2稿ということだが、
第1稿にあって第2稿でカットされたはずの個所が少なからず残されている。
校訂報告書は書かれなかった。
恐らくカットするには忍びない部分ということだろうが、
全体のバランスは崩れているし、異なる時系列の属すべきものが混在している。
これはVIII/2変形版というか、VIII/1のカット版に近い。
ブルックナー全集としてこういう仕事をすべきではなかっただろう。
長大な第1稿の真価が認められるまでの過渡的なカット案として、
全集とは別の場所で提示すべきだったのではないだろうか。

今なお、ハース版が盛んに演奏されているのは
細部の美しさ、演奏の素晴らしさに負っている部分が多いだろう。
ブルックナーの初期稿こそもっと評価されるべき。