ワルターがコロムビア交響楽団を指揮したレコード(この演奏はとても優れていると思うが)と
比較すると、おそらくそれが半分はワルターの求めたクレッシェンドであるだろう反面、当時
(一九五八年、つまりステレオのごく初期)の録音・再生の技術の制約から、カラヤンの旧録音
(一九六二年)にくらべてさえも、フォルティシモがかなりおさえられ、聴感上のダイナミクスが
はるかに控え目だからだ。
 このワルターにかぎらず、ここ数年来より以前のレコードでは、おもにダイナミック・レインジの
面から、実際の演奏よりも音の強弱の表現に制約を受けていることがはっきり
聴き分けられる。演奏者はおそらく、ピアニシモを実演よりもやや大きめに、
そしてフォルティシモを逆におさえぎみに、演奏させられている。或いは演奏は
そのままでも、録音のプロセスでリミッター(音量制限器)やコンプレッサー
(音量の強弱を圧縮する)などによって、ダイナミクスをおさえられてしまう

 その意味で、こんにち、ことにDGGノロクオンギジュツハ、世界の最高水準にあると言える。