>327

いや、それは考えが甘いと思うよ。
ショパンを「弾ける」という意味は、レベルに対応してピンきりだからね。楽譜どおり
に音が出せます、というレベルなら、インベンションはいらないでしょう。しかし、
メロディーラインをくっきりと浮き上がらせたり、ルバートをかけて思いっきり歌わせ
たりするためには、高度な左手のコントロールが必要になる。プロとアマの違いは
左手の使い方にあると言ってよいほど。名人と言われるピアニストは、例外なく声部の
歌いわけ方が絶妙。ラフマニノフ、リパッティ、ミケランジェリ、ホロヴィッツ...
彼等のショパンには定評があるけど、バッハをも大の得意にしていた。それには実は
深いわけがある。

ショパンは、自分の曲のコンサートの直前だというのに、「平均率」ばかり弾いていたと
いう逸話が残っている位、バッハに傾倒していた。もちろん、ショパンの音楽を理解する
にはバッハは無視できない。「24の前奏曲」だって、バッハに触発された音楽なんだ
からね。

インベンションを楽々弾きこなせる位の実力がなければ、ワルツでも、ノクターンでも、
まともなショパンになるわけがないよ。逆に、ヒイヒイ言ってでもインベンションを
一通りマスターさえすれば、ベートーベンでもシューマンでもブラームスでも、演奏
レベルが飛躍的にアップすること間違いなし。