『天才柳沢教授の生活』で、ラヴェルが得意なピアニストの話があった。
その彼が発作で倒れ半身不随になってしまうという展開で、
「ああ、『左手のためのピアノ協奏曲』にもっていくんだな」というのは容易に想像できた。

だが、その後の描写が巧みだった。
この曲はご存知の通りコントラバスのアルペジオとコントラファゴットのソロで始まるのだが、
それらの楽器をちゃんとしっかり描いてあって、あの陰鬱な冒頭部が聞こえてくるかのようだった。
そしてオケの総奏が終わった後に低音で打ちこまれるあの衝撃的なピアノの第1音、
そのインパクトが伝わってくるかのごとくみっちり描きこまれていた。

あの描写、この曲を知ってる人なら「うまい!」と思うに違いない。