SP時代。機械吹き込みから電気吹き込みになって、Dレンジなどはかなり広
くなって物理特性的にはかなり余裕ができて表面的にはかなりいい音になっ
た感じがした。ただ、一回電気信号になった時点で決定的に失われた「何か」
がある。それがなんなのかは誰も説明できない。

SPからLPへ。シェラック78回転からぺらぺらのビニールLP331/3回転へ。針
の細さやHiFiの流行によるF特の改善となんといってもLongPlayの利便性、
それからRIAAステレオの効果でLPが市場を席巻してしまった。しかし中音域
のリアルさ、これはLPでは決定的に失われてしまった。

LPからCDへ。LPとは比較にならない物理特性と利便性を手に入れたCDだがい
ったんディジタル信号になった時点でもう絶対復元できなくなったものがあ
る。残念ながらそれがなんなのか説明はできない。

機材が複雑化するとか製造工程が増えるとか、いくら物理的にはよくなって
もそのたびに何かが失われる、あるいはよけいなものが付着してしまう、と
いうことは昔からあるのだと思う。耳がいい、それゆえ新しい方式が気に入
らない頑固者はそれを受け入れたくないものなのだ。