>>924
レクイエム、いろいろ意見が出ているけど、自分の考えは次の通り。まず2
(VPO 56/6/23) はやめて、1か3にする方がよいと思います。2は何といっ
ても録音が明らかに劣っているし(元々テープの保存状態がよくないらしい)、
演奏面でもワルターの全体に対する統率力が不足している印象です。合唱
の「入り」が遅れがちだし、ソリストにはやや感傷的な表情付けが見られま
す。3は昔チェトラ原盤のキングのLPで初めて出た時は2よりもっと酷い音で
したが(宇野本はこのLPでの評価)、今のオルフェオのCDは見違えるほど
の音質で、CBSのスタジオ録音に劣らぬほどです。ただし、いわゆるCEDAR
のかけすぎなのか、弱音部で音が異様にか弱くなる等の不自然さが若干あ
りますが、昔のキングのLPからすればこの音は天国です。演奏は1のスタジ
オ録音より全体的に遅めで、各フレーズの終わり等ではリタルダンドを伴った
表情付けも目立ちますが、それはやや淡白に過ぎるとさえ言えるスタジオ録
音と比較しての話であって、たとえばベームとウィーンフィルのDG録音に比
較すれば、このライブ録音でさえも、快速調のすっきりした演奏と感じられる
でしょう。演奏面で他に付け加えれば、この演奏では合唱部の統率もよいし、
ソリストはかなりオペラチックではありますが、表情付けは2より相当すっきり
して(させて)おり、ワルターのこの曲の演奏によくマッチしています。一言で
言って「壮麗」という言葉が似つかわしい演奏ですし、演奏者の共感もこと欠
いていませんが、全曲にわたって音楽が淀みなくドライブされ、より自然な音
の抑揚を持っているのは、スタジオ録音の方です。