いえね、部屋に入ったらまづ、ギターが目に入ったんですよ。
そんでドレスを着た女の人が背を向けてるんですね。

(なんだいネェちゃん、発表会かい?)
なんて思ってたんですよ。

「ご署名をながいしまーす」って言ったら、その女の人が振り向いたんですよ。
窓からの日の光ではじめはよく判らなかったんですけど、
サインをするために、身を少し屈めた時にはっきりと顔が見えたんです。

(をい! 住職タンじゃないかYO!)

と凍りかけた刹那、また背を向けてしまったんですよ。
ほいで、控えを渡そうと思って伝票を見たら、間違いなく律儀に「村治住職」なんですわ。

で、体温を3℃程上げながら「こちらはお控えでございまぁーす」って手を伸ばしたら、
再び見返り美人の降臨。
「はぁ〜い、ご苦労様ン」ときたもんだ。スッピンで満面の笑み。

えぇ、あの時わたしゃぁ、一度死んだんです。昇天したンですね。