>>636
鈴木さんの発言には淡いライバル心なんかもほの見えて、
社交儀礼的な絶賛調よりもよほど誠実さが感じられるな。
だが、「精緻でない」という部分には若干異論がある。
ヘレの音楽は十二分に「精緻」だよ。
フレージングの美しさには鈴木さんも言及しているけど、
ヘレの真骨頂は、その美しいフレーズをひとつひとつ精緻に
積み重ねていく絶妙の構成感にある。
これは、リズムを縦割りにして音楽を外側から枠に押し込め
ていくのとは本質的に別の感覚で、音楽の内側からリズムを
自然に呼び覚ましていくやり方。
「自然光が入り込んでくるような感じ」とか、合唱の色調が
グラデーションのように無限のニュアンスを浮かべながら移
り変わっていくヘレ独特の感じなんかはここから生まれる。

そこをつかみ損なうと、縦の線がキマらないとか流れすぎと
かいった、以前のレコ芸評論家諸氏みたいな評になってしま
うんだろうな。