交響曲第5番 ハイティンク/ウィーンPO(PHILIPS PHCP1184/5)  88年

*無印*
ハイティンク、ウィーンフィルのブルックナーツィクルス第2弾の録音。
ハイティンクでは、今年発売された同オケとの「第8番」が、とてもすばらしい出来
だっただけに、この無印マークには驚かれる読者もおられるかもしれない。確かにそ
うなのである。最新の「第8」はすべてのブルックナーの中でも当に理想的と評する
べき演奏であり、ホルンの朗々たる響き、心の込めぬかれて、共感に満ちたアダージ
ョ、早めのテンポのフィナーレなど、どこをとってもブルックナーを聴く喜びに満ち
た演奏なのである。
しかし、この「第5」は最悪である。スクロヴァやロジェヴェンのようにディフォル
メの極みというようないわば積極的な悪さではなく、ハイティンクの悪さはまったく
自己主張というのが感じられないということにあるといえよう。当に<愚鈍の極み、
凡庸の塊>と評した宇野功芳氏の指摘は当を得ている。
第1楽章の出だしから、まずいただけない。弦のはじく音がきこえない。ヘッドフォ
ンで音量を上げてやっと聞こえるというわけだ!これは、録音のせいではないだろう
。第1楽章や、終楽章もいやが上でも盛りあがるはずのコーダにしろ、まったく干か
らびたひものであるし、ただでさえ長いスケルツオなどは耐え難い愚鈍さである。
いったいハイティンクはウィーンフィルと何を表現したいのだろうか?また、どうし
てウィーンフィルともあろうオケがこんなつまらない表現をする指揮者と組むのだろ
うか。ぼくは不思議でならない、とこの演奏を聞いただけでは思っただろう。とにか
く、「第8」のすばらしさからは想像もつかないような凡演がここにある。
「第8」の名演は偶然だったのか、それともハイティンクの「第5」から10年後の
円熟によるものなのか。その判断を下すためにも今回のVPO来日で第7を聞いてみ
たい。しかし、VPOは何故、朝比奈をまねいてブルックナーをやらないのだろうか。
音楽界の7不思議ともいえようか・・・・
http://www.pluto.dti.ne.jp/~relax/toukou1.htm#HAITINKブル5