先日、ベルリンフィルと僕との第1回目のレコーディングが
あり、第6シンフォニーをレコーディングしにベルリンまで行って
きたので、その報告をしたいと思う。

意外なことに、僕とベルリンフィルとはこれが初共演である。
これというのも、ヨーロッパの音楽界が商業主義に走り、
ぼくのような大芸術家には目もくれず、カラヤン、アバドなどの
スター指揮者ばかり起用してきたからである。
こんな素晴らしい指揮者を半世紀近くも放ってヨーロッパ楽壇に
対し、憤りを禁じえないといえよう。

が、ベルリンフィルの楽員たちの態度は素晴らしかった。
東洋から来たこの大芸術家に対する敬意がひしひしと感じられ、
まるでぼくの手足のようになって大熱演を繰り広げたのである。
やはり本物は、わかる人間にはわかるのである。

スタジオでプレイバックを聴いたが、クナッパーツブッシュ、
マタチッチ、ヴァント、朝比奈隆ら、歴代のブルックナー指揮者たちが
束になってかかってもかなわないほどの名演奏であり、改めて僕は
自分の天才を感じ取った。
いうまでもなく、この録音さえあれば他はいらない。