ミレニウムの事務局長で、事実上のオーナーで演奏家でもあるロシア人は、
まったく悪びれたところがない。「指揮者の側が日本のスポンサーをつれて
くる。こっちは水準の高いオケをつくる。経営が軌道に乗れば常設オケにな
る。どこでもやっているビジネスモデルじゃないか」
 日本でのCD発売が予定され、公演も計画されているという。ジャパンマ
ネーでひと旗揚げようという新興ビジネスマンさながらだ。「国立? 手違
いでそう発表されてしまった。事実ではないので、直す」と、気にするふう
はない。こうしたオケ・ビジネスの底流にあるのは、ソ連時代末期からの経
済混乱で一流オケが軒並み経営難に陥り、楽団員の生活が極端に困窮したこ
とだ。西側世界にとってはわずかなカネで、腕の確かなプレーヤーをいくら
でも雇える状況になり、外国の音楽界が飛びついた。欧州の指揮者が自分の
専用楽団をモスクワで編成したり、かつてロシアに進出していた日本のオウ
ム真理教がつくったオケもあった。買い手と売り手がいれば、ビジネスは栄
える。音楽評論家のバルガフチク氏によると、現在のオケ・ビジネスは3通
りに大別されるという。(1)名前だけのオケをつくり、注文が入った時に
メンバーを既設オケなどから集め、演奏会や録音をこなす(2)困窮した常
設楽団が、カネをもらって外国の指揮者やソリストと共演する(3)海外公
演だけを目的にした寄せ集めオケ。