昨日、ベートーヴェンの新作聴きに行ったんです。ベートーヴェンの新作。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで座れないんです。
で、切符売りの令嬢に聞いてみたら、これは画期的な交響曲だから、とか
言われたんです。
4楽章に合唱つくらしいと。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、合唱ごときで普段来てない演奏会に来てんじゃねーよ、ボケが。
合唱だよ、合唱。
なんか客席見たらタールベルクとかもいるし。超絶技巧演奏家のタールベルクが
ベートーヴェン鑑賞かよ。おめでてーな。
歴史に残る演奏会だとか言っていっしょうけんめいなんかメモしてんの。もう見てらんない。
お前らな、150フロリーンやるからその席空けろと。
ベートーヴェンってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
ベートーヴェンがいつオケの連中と喧嘩をはじめてもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。合唱ヲタは、すっこんでろ。
で、やっと演奏始まって、終わったと思ったら、隣の奴が、涙ながして
フロイデ、フロイデとか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、フロイデなんて、きょうび流行んねーんだよ。ボケが。
シラーが30年も前につくった詩だぞ?
小市民じみたこぎたない顔して何が、フロイデ、だ。
お前は本当にこの新作に感動したのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、フロイデって言いたいだけちゃうんかと。
ベートーヴェン通の俺から言わせてもらえば今、ベートーヴェン通の間での最新流行はやっぱり、
「ピアノソナタ第29番」、これだね。
作品番号106番、変ロ長調。これが通の愛する楽曲。
あんまり重々しくなりすぎずに。そん代わり響きは肉厚に。これ。
で、それにアンコールはなぜか「失われた小銭への怒り」。これ最強。
しかしこれを演奏すると次からサロンに招待されなくなるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人は、「交響曲第5番」を運命が扉を叩く音にでも喩えてなさいってこった。