【講義25】
よっしゃ、講義始めるで。今回はベルクやな。
男の人生っちゅのは何なんやろ?ベルクを想うときワシいつもそない思う。
弦楽四重奏のための抒情組曲。「おっさん、ふざけてんのか!」ちゅうようなことしよったわな。
自分と惚れた女のイニシャルを音に入れよったんやからな。
だいたいやで、他人が、親の反対押し切って結婚して、
その上に愛人ができて、うまいことやりおった、なんちゅう話し聞いて気分ええわけない。
ベルクはその自慢話を音楽でやりよったんや。
「おうおう、良かったのう、勝手にせえや」って言いたなる。せやけど、
これがまた名曲やからタチ悪いな。ワシら否応なくベルクの恋愛体験聴かされるんやさかいな。
手紙には、深刻ぶったこと書いとるけど、本人は楽しんどったんや。
トリスタンやらボードレールやらをまで引っ張り出してきて、
自分の想いを歌い上げよった。確かにトラブルはいろいろあったんやろ。奇数楽章で表現しとるわな。
でも、5楽章でメチャメチャ高揚感出しといて、最後は静かっちゅうか、「絶望のラルゴ」
て言うように、まあ、一種の諦念の境地で終わる。
せやけど、ほんまにこんな心境やったら、ここまで緻密に書けるもんちゃうで。
まあ、「もうみんなヤメや」ちゅうのが普通やろ。そこが天才性なんか知らんけど、
ワシは本人はけっこう楽しんどったと思うな。ワーグナーと一緒で自己ドラマタイズしとったんとちゃうか。
今ベルクが生きてたら、缶コーヒーのBOSSのCMに起用できんのちゃうか?矢沢栄吉と対抗できるで。
どや、これでベルクのことちょっとは分かったんとちゃうか?ほなな。