(ウィーンフィルに関して)いい思い出と、悪い思い出といっしょだなあ。
そう、まだ若いころ、ウィルヘルム・バックハウスとシューマンのピアノ協奏曲、
グリーグのピアノ協奏曲をしました。その時オーケストラで付点音符のリズムが
曖昧だったから、譜面どおりにきちんとひくように要求したんです。するとね、
コンサートマスターが苦い顔をしてね、やめなさいと呟く。そんな隅をほじくるの
僕らは好きじゃない、と言う!
−ほう、誰でしたかそれは?
ウィリ・ボスコフスキーだった。いいですか、隅をほじくるの、好きじゃない!
それで練習になりますか、しかもソロがバックハウスでしょう。リズムをきちんと
することはその場合絶対必要なこと、余計な隅っこでは、絶対ない! ウィーン
フィルだろうと何だろうと、指揮をあずかる限り、譲らない! いい関係は、
だから生まれなかったね(笑)でも、バックハウスさんは喜んでくれましたよ。