山は頂上に接近するにつれ、風が強くなるという。アバドも幸か不幸かBPOというチョモ
ランマ級の山のシェフになってしまい、風当たりは強いのは当然だと思う。
また一方で、前任者の支持者から叩かれるのも宿命だと思う。生前のカラヤンの叩かれ方
はアバドの叩かれ方どころでの話ではなかった。特に、カラヤンがBPOのシェフに就任した
あと数年間のフルトヴェングラー支持者からの反発は相当なものだったし、その後も多くの
反発があった。 日本人でのフルトヴェングラー体験者(そして支持者)の遠山一行氏は、
カラヤンを厳しく批判し続けた一人。宇野功芳のような低レヴェルではない、もっと
本質的なカラヤン批判をやった。遠山氏の影響のせいか、日本のファンは自分がカラヤン
批判派でなければ高級ファンと認められないかのような錯覚にとらえられたくらいだった。

さて、そのフルトヴェングラー支持者の遠山氏がアバドをどう見ていたか?
実は81年のスカラ座公演の「シモンボッカネグラ」、95年のウィーン国立歌劇場公演の
「フィガロ」、この両方のアバドの指揮について大変賞賛している。

人間、人それぞれの見方がある。 しかし、カラヤンファンでもありアバドファンでも
ある自分としては、アバド叩きに夢中になるカラヤンファンというのは理解しにくい。
ひょっとして、近親憎悪なのではないだろうか.....。