恥ずかしいけど そのたんすです
下から二つ目 気をつけてください 大事な引き出し
恥ずかしいけど 古い銘仙あるでしょう
見せてください 着てみなくてもいいんです においだけかがせて
これ 母のにおい
何十年も昔 こんなふうに寝ていた日 亡くなった母がたんすにしまってくれた 着物
あのころの母は 私よりまだ若い
恥ずかしいけど 呼んでもいいでしょう
お母さん お母さん お母さんお母さん
私 痛い 私 苦しい 私 死ぬの さすってよ
冷たいお茶が欲しい 窓を開けて
夜はいや 朝にして 私をかえして 早くかえして あの頃の私に
お母さん お母さん 
どこへも行っちゃいや
恥ずかしいけど その銘仙
やっぱり私に きせて