(前からの続き)
皆が自分自身のベストを尽くそうとしているようだ。まさに献身の典型の
ようなベーレンスが最高で、彼女は救出の使命に緊張した妻で、全ての重
要なシーンを心から歌い切っている。しかし、"abscheulicher"では、彼
女はあたかもレノーレの一生がそれにかかっているかの様に歌っており、
ある意味、それは正しい。ここでの歌唱は、一年後のショルティ盤での彼
女自身の歌唱を遥かに凌いでいる。彼女のすぐ横には真正で、暖かく、信
頼すべきモルのロッコがおり、解釈において、彼の他の録音における基準
を上回っている。キングの声は1978年の段階ではやや乾ききっている嫌
いがあったが、フロレスタンを苦悩の感情とともに歌っている。ピツアロ
はマッキンタイアが歌っており、力強い声とともに、悪の化身のようだ。
ポップは病気がちだったヘルガ・デルネシュの代役として、前夜のバーン
スタインとの同じ役を演じた公演後に駆け付けてきたものだ。彼女のマル
ツエリーネがいつもそうだったように生命力に溢れ、美しい歌唱だ。ヒレ
ブランドはふさわしく朗々とし、滋味にあふれた大臣だ。オルスのヤキー
ノは最高に元気がよい。(続く)