>>35
トータルセリーってのは、数学的な構成法というよりも、複雑なポリフォニー
を構成していくための方便と考えた方が良いと思う。

でも、複雑さが過ぎてくると、人間の耳では聴きわけられないレベルに入るわ
けで、そういう点をクセナキスは批判していたの。

もはや集団的にしか捕らえられないような音を、律儀にポリフォニックに組み
合わせていくのは無駄で、それなら、作曲の段階から統計的に音を操作した方
が良いというのが彼の主張。

ただ、その統計的手法の適用法には、数学や物理を知っている人間からすると
相当胡散臭いものがあるんだけどね。

でも、技法的には胡散臭いものだけど、出てくる結果があれほどに素晴らしい
というのは、クセナキスが持っていた音楽的イメージがいかに強固なものであ
ったのかを、逆説的に示しているともいえる。