十代の半ば、私は毎日死ぬことばかり考えていた。腐った社会、
腐った人間ども、その渦の中で窒息する寸前だった。

頑丈なロープを買い、ベッドにくくりつける。準備は万端だっ
た。そのとき。
テレビから流れてきたのが、ベートーヴェンの交響曲第3番
だった。
いかずちを落とすかのような冒頭の二発のアクセント。勇壮な
メロディー。私は死を脇に置き、夢中で音楽に没頭した。

四楽章が終わり、私はなんとも言えぬ心地よさを感じていた。
ああ、これが至福なのだ。これが天国なのだ。

社会のためでもない。人間のためでもない。
そう、音楽のためだ。

これからの人生、私は音楽のために生きようと思った