4分33秒を聞いたときの衝撃は忘れられない。音楽が、音楽を
語ることに対する頑ななまでの拒絶、アンチテーゼ。作曲者の
悪意が、そして悪意の裏側に隠れた音楽への愛がこんなにも伝わ
ってくる「音楽」は、かつてあっただろうか。
そう、それは音楽なのだ。紛れもなく音楽なのだ。聞こえない音
を奏でる音楽なのだ。
気がつくと私は立ちあがり、声にもならぬ嗚咽を漏らしていた。