例の、タン、タン、タン、の3連音の単調なリズムを刻まれ、オーボエが高く
出てきて弦楽が加わるはずが、あの素敵なオーボエの調べの部分が5秒から
10秒くらい抜け落ちています。おそらくこの冒頭部分の脱落ゆえに正規盤が
出なかったのでしょう。まことに残念至極です。
それはともかく、彼の採ったカデンツァは誰の作曲によるものなのでしょう。
クレーメルとアーノンクールの組み合わせで採られた旧ソ連邦の、いかん
名前が出てこない、作曲家のものとは違うけれども、不協和音を散らばらせた
カデンツァのおかげで、ベトの協奏曲が過度に一方向へ集中するのを回避して
音の世界の広がりを感じさせてくれる点で、非常に良い選択であったと思い
ます。30代の同世代の演奏家としてこれから演奏家としてどのような軌跡を
描くのが楽しみです。