もうかれこれ10数年前になるだろうか、アンサンブル金沢の定期で振った
のを聴いたのが唯一の生演奏体験だった。たしか、ハイドンの交響曲とモツ
ピアノ協奏曲25番、ベト1番だったと思う。まだできて日の浅いオケの定演
に毎回通っていた私だったが、明らかにそれまでと音色が違うのに感動した。
輪郭のはっきりした、陰影の深い演奏で、いまでもあのときのことを思い出
せるよ。

アンコールで客席に向かって「このオーケストラはできて日が浅い、今日取
り上げた曲はすべて名曲で、一音符たりともゆるがせにはできないものであ
る。だから私は厳しくしごいたが彼らはよくついてきてくれた、ただそのた
めアンコール曲を用意することができなかった。彼らの練習成果をもう一度
聴いてくれないか」というようなことをいってもう一度ハイドンの最終楽章
を演奏した。あの日の感動は忘れられないな。