>>48
私の知る限り、ゲルハルト・サミュエル指揮シンシナティ・フィル
(米センタウア CRC2107)とペーター・ティボリス指揮ブルノ・フィル
(米ブリッジ BCD9033)があります。

いわゆる「マーラー版」と呼ばれる第九の楽譜は、少なくとも4種類が
存在するようですが、いずれも出版譜では無く、マーラーがペータース版の
総譜に書き込みをしたものの写しです。
ベートーヴェンのオリジナル版との違いは、管楽器の編成がかなり
大きくなっていて、チューバが加えられていますし、ティンパニも2対に
なっています。オリジナル版ではオーケストラに埋もれて聴こえにくい旋律を
金管で補強して大きく浮かび上がらせたり、ティンパニを書き換えて音楽に
メリハリをつけたりと、かなり大胆なオーケストレーションの変更があります。

サミュエル盤はファイナル・ヴァージョンと書かれているので、
恐らくロサンゼルスのシェーンベルク財団の総譜によるものだと思います。
ティボリス盤は1895年版と表記されていて、マーラーの若い頃、
恐らくハンブルクで指揮していた頃のものでしょう。
分かりやすい例を挙げると、両者とも第2楽章の最後にティンパニの一撃が
加えられていたり(これはシューリヒトやバーンスタインのベルリンの壁
崩壊時のライヴ等でも聴くことが出来ます)、第4楽章のマーチの部分で、
木管の旋律に合わせてトランペットが合の手を入れたりしています
(サミュエル盤はミュートを付けているようです)。マーラーの弟子である
ワルターも、ハンブルクでマーラーがこの曲を演奏した際に、この部分の
トランペットを舞台裏で吹かせていたという回想をしていますから、
恐らく遠くから楽隊が近づいてくるようなイメージを出したかったのでしょう。