プレトニョフが「胡桃割リ人形」や「眠れる森....」をやった時には、
目の付け所がいいなあと感心したけど、本人はサッさと指揮の方へ走っちゃった
し、もともとその気のある人は指揮に走りがち。

最近では、岡城千歳が面白い。
なかなかにアザとい選曲(マーケティング)が少し鼻につくところもあるけど、
ワーグナーのトランスクリプション集は、リスト以外にも色んな人が
「まあこんな曲も」というようなものを編曲していることを知らしめる、
極めてマニア向けの逸品。

・コチッシュ編曲の「トリスタン〜  の前奏曲」を冒頭に持ってきて、まず
 体育会系脳味噌筋肉ノリの曲芸を期待している輩に訣別。この時点で、
 まず勝負一本って感じ。コチッシュのこの編曲は本当に素晴らしい!!
 楽譜あるなら欲しいです。
・お後は、愛の死、ワルキューレと続くんだけど、どこにもリストはいない。
 モシュコフスキーとかブラッサン?とかが、これでもかって獅子奮闘してる
 けどやればやるだけ、リストの凄さを思い知らされる。
・圧巻は最後の「ニーベルンゲンの指輪のテーマによる幻想曲」
 敬虔なバイロイト信者は卒倒しそうなオチャラケた内容で笑わせてくれる。
 連弾の持つ本来的なバカさ加減をダシに使っての悪意スレスレのパロディー
 が痛快。なんとフォーレ大先生も悪戯の下手人だ。フランス人て怖いよね。

ピアノ・トランスクリプションは、一通りの難曲やマイナー曲にももう感じなく
なってしまった人達に残された最後の桃源郷だ。これからのピアニストは、
いつまでもリストに頼らないで、自分で編曲するくらいの「頭」がないと
生き残れないでしょうね。