「ここでのブレンデルは、後年同様に線の細い音ながら、まるで紅顔の詰襟学生といった風情があって、聴き手の心をくすぐるのである。
さながら童貞のインテリのような初々しさが堪らなくいいではないか。
今こそ、私は男に生まれたことを悔やむ。
私が女なら、この可愛い坊やを誘惑して手籠めにしてやるのに!」

福島章恭『モーツァルトをCDで究める』