ちょっと長くなるが、C.P.E.Bachが200年以上も前に次のように解説している。

トリルはもっとも難しい装飾法であり、必ずしも演奏者のすべてが使いこなしている
わけではない。<中略> 最初の段階からトリルはこつこつと練習する必要がある。
なかんずく、各指の動きは均等で急速でなければならない。常に速いトリルのほうが
遅いトリルより望ましい。寂しい曲では、トリルの幅は少し広くとっても良いが、
それ以外では迅速性が大いに旋律を盛り立てる。
トリルの練習に際しては、各指を高すぎない程度で同じ高さまであげること。
最初はゆっくり弾いて、続いてより速くするが、ただし常にむらがないように弾くこと。
筋肉の緊張を解いておかないと、ケタケタ笑うような(meckern)響きになったり、
ゴツゴツして不揃いなものとなる。無理やりにトリルを弾きこなそうとする人が多い。
トリルは均等さがが維持できぬほどまでに、絶対に速度をあげてはならない・・・。
頭を使って練習すれば目的を達成することは容易であるが、筋肉を過度に緊張させては
決して達成できない。<中略>
・・・全指を用いて熱心に練習し、どの指も力強く器用に動くようにしなければならない。
しかし、どの指も同じ程度に上手くトリルが弾けるようになるとは考えてはいけない。
一つには、それぞれ各指には生来の差異があるためであり、もう一つの理由は、
大抵の曲では、特定の指により多くのトリルが振り当てられているから、よく使われる指は
知らず知らずの間に練習量が増えている為である・・・。<中略>
右手左手ともに、少なくとも2組づつトリルを弾ける指を持たないとおぼつかない。
すなわち、右手については第2・3指、第3・4指、左手については第1・2指、
第2・3指である。