>>237
前出の「言葉」に例えるのであれば、同じ言葉を聞いてもそれを言う人の気持
ちによって伝わるものが違ってきます。気持ちは何によって伝わるのかと考え
ると、それは声の調子、抑揚、間の取り方(目の前にいれば仕草や表情がそれ
に加わりますが)だと思います。言葉についてはそれを発する人の人となりで
ほとんど決定されるものであるかもしれません。音楽についても大切なのはそ
の音楽に演奏家が何を感じているかではありますが、言葉とは異なり楽器を介
するためにそこにはある程度の技術が必要となります。しかし、気持ち(精
神)を表現し伝えるものは言葉と同様に 声の調子(音色)、抑揚、間の取り方
であると思います。あなたの言うアーティキュレーションが占める割合は高い
と思いますが、少なくとも音色についてはできるだけ原音に近い方が気持ちが
伝わるように思います。そこにこれまでの音楽再生の進歩の意味があると思い
ます。言葉における微妙な表情の違いが誰にでも聞き分けられるように、音楽
においても、その表情の違いは訓練を受けていない人にも分かるものであると
いうことを言いたかったのです。
私が演奏家に求めるのはその音楽に感動する深さとそれを表現できるだけの技
術です。