グルベローヴァの「清教徒」。

お説の通り、これはイタリアの様式とはちと違うものでありましょう。
当今のイタリアでエルヴィーラ歌いと言えば、まずはデヴィーア。
ところが、日本人のわたくしが聴く限り、芸の大きさと華は
グルベローヴァが一段勝るものと心得ます。
確かに10年、20年前よりグルベローヴァの歌は多少動脈硬化気味。
これは一昨年ヴィーンオペラのツェルビネッタを聴きまして、
ベーム指揮の20年前と表面は変わらずも内実はかなり工夫苦心している点、
ひしひしと窺えました。
「清教徒」は並々ではない難曲。
わたくしはこれを今だにレパートリーとし、衰えゆく声をその年齢に合わせて
コントロールしつつ、現時点でのベストを尽くすグルベローヴァの、
芸人としての刻苦勉励に興味があるのです。
だって、ことさら意地悪く聴かぬ限り、今でも音は外さず装飾音は盛り沢山、
グルベローヴァのエルヴィーラは後ろ指を指される芸ではないと思いますが。

ディスクの「清教徒」はむろんカラス絶品なのですが、
「清教徒」の隅々まで大好きなわたくしとしては、大幅カットが気になります。
ゆえに常々はグルベローヴァ盤を聴いておりますが、これは共演者がスカ。
アルトゥーロだけ言えば、ムーティー盤のクラウスが大好きです。
もちろん皆様のお好みも色々ほかにありましょう。