私は今までほとんどイタリア・オペラを聴いていて(多少ドイツ・リートも聴いて
いましたが。)、最近ドイツ・リートに興味を持ち始めたばかりだったけど、ボス
トリッジの歌に出会ってからますますドイツ・リートにはまっていきそうです。
ドイツ・リートってイタリア・オペラと比べると表現意欲に欠けるような(まあ、
なるべく音楽をこわさないように、控えめに表現するのが従来のドイツ・リート
なのだと思いますが。)気がしていたのですが、ボストリッジの歌はぜんぜん
そんなことを感じさせません。

ボストリッジを生で聴いた人たちの後でCDの話はなんか霞んでしまいそうですが、
私は美しい水車小屋の娘をCDで聴いたのですが、今までこの曲集は若者が入水自殺
してしまうので、ひたすら暗いイメージを持っていました。でもボストリッジの
CDでは最後は確かに聴いていると悲しくてしょうがないのですが、特に
「Mein!」のあたりでは、幸福感というか愛の成就した喜びというものが
よく表れていて、この曲集は単に暗いだけではないのだということに気づか
されました。こういう表現は確かにボストリッジも意識的にやっているのかも
しれないけれど、ボストリッジの声質や若さが可能にしているのかもしれないと
思います。だから、私はボストリッジには変に背伸びをせず、今でなければ歌え
ない歌を歌って欲しいと思います。渋さとか奥行きは年をとれば、自然と出て
くるのではないでしょうか。それにしても生でボストリッジを聴いた人たちが
羨ましい。本当に来日公演をテレビで放送してくれないかな。いつか生でも聴き
たいよ。長文になってスマソ。