20代の終わりのある日、父が死んだ。

その看病疲れで、母が死んだ。

私は、父にも母にも可愛がられて、可愛がられて、育った一人っ子だった。

優しい夫もいた。生まれたばかりの子供もいた。

でも、自分の存在が消えてしまったと感じた。

食べることも、眠ることも出来なかった。

赤ん坊を抱えていては、飲んだくれて眠ることも出来なかった。

毎晩、歯をくいしばって、声を立てずに泣いた。
泣き声の替わりにと、ヘッドホーンでCDを聴いた。

「7番」を聞いた。

毎晩、毎晩、    繰り返し、繰り返し、   「7番」を聴いた。

柱にもたれかかって、聴いた。


朝が来て、夫が起きる時間になって、やっとヘッドホーンを外した。
自殺しない自分が、朝を迎えたと思った。

何日も、何日も、    一年近く続いた

自分が生きていてもいいんだと思った。


  この頃、放送で「7番」を聴くことが多くなった。
  夫や子供にわからぬよう、横を向いてそっと涙を拭う。