ほんわかした幸せなど求めて音楽をやっているうちはわからない領域が
芸術にはあるんです。
たった一音。その一音が、百のメロディーより雄弁な雄弁な輝きを
放つ瞬間を知っていますか?
深い思想として聞こえてくる瞬間を知っていますか?

その一音を鳴らすために、無駄なものを極限まで排除し、研ぎ澄まし、
技術と感性を磨くのが本当のピアニストです。
それは決して不幸な作業などではありません。
ただ他人と競いあっているように見えるかもしれませんが、
もうひとつ上の、至福の領域を求めて精進している人々の存在も知ってください。