グラズノフがチャイコフスキーやラフマニノフの域に達しなかったのは、
独自の表現様式を確立できなかったからだと思う。
メロディーは作れるのに、それを盛り付ける器が彼には用意できなかった。
だから、バレエ音楽の中の小品にはチャイコフスキーに劣らぬ佳品があるのに、
交響曲や協奏曲、大規模な標題音楽となると
散漫でしまりがなく、主題があてもなく明滅しているような音楽になる。
8曲の交響曲の中で、5番だけはそういう欠点があまりなく、
一般的に勧められる作品となっている。