>>144
チェリとクレ・・・。遅いテンポをとることが多い点では共通項が無くは
ないと思うが・・。チェリよりはヴァントのほうがテクスチュアの把握や
趣味が近い気がする。クレは各声部を彫塑的に明らかにし、その声部での
フレージングは明晰そのものでヨコへ流れて行く。他声部もそれぞれに明確。
それが同時に響くときタテの調和の瞬間よりあきらかに各声部同士の緊張関係
や断層を示唆する方に喜びを見出している感じ。それが独特の推進力や時に時間が
止まっているかのような又は多時間的な神秘性を生み出す。チェリはテクスチュアに
対してもクレとはズームの焦点が違うし、声部同士の緊張、対立より、それらが同時的に
出会い見事に調和することの一期一会のような美の瞬間に惹かれていたのでは?とくに晩年。
多くの場合3和音的な大団円に収束していくブルックナーの曲はチェリの美学にはうってつけだったの
だろう。音楽が始まる前も実は音楽は終結しており、始まりと終わりは共時的な切り離せないものという
捉えかた。チェリの音楽を聴くとそれがどこかへ向かっているというよりすでに「在る」ものに気付き、存在
している建築物をさまざまな角度から追認しているような感覚におそわれる。