23,24>>
遅レス申し訳ない。
クライバーがバイロイトのあとで録音するときになって、イゾルデ役に
プライスを自らが望んだのはとても有名な話であると記憶していたのだけれど。
当時のまだかなり高価だった(なんて彼が気にしていたとは思えないけど)
国際電話でそれまでドラマティコをやったことのない、そして自分には絶対
できないと固辞していたのを延々と口説き落とした相手がプライス。
つまり、24氏の言うとおり、彼のトリスタンとイゾルデのイメージは、それまで
あったものとかなり異なっているということでしょう。
ドラマティックソプラノとヘルデンテノールの二人によってでなく、
むしろ、リリコに近い声を持っているイゾルデとちょっと甘ったるいかもしれない
コロのそれでもスピントの声とが、彼のイメージするトリスタン像にもっとも
近かったということなのでしょう。
その意味において、クライバーは明らかにそれまでの時代とは異なる
トリスタンを再創造したといえるのではないでしょうか。
それは、ちょうど同時期にレニーが入れたトリスタン(これもまた、その
録音を聴いたベームが、そのテンポこそが理想であるけれど自分にはできないと
言ったとか言わなかったとか)が、それまでのトリスタンの像をそのまま
引き継いだ上にひとつの典型を作り上げたのと好対照を成していると
思えるのです。
そんなこんなを含めてトリスタンは録音にとっても恵まれているように感じます。