バーンスタイン盤とクライバー盤の比較では、ボクにはちょっとした苦い体験が
あるよ。(あくまでもボクの意見ですから)

C.クライバーとバーンスタインのトリスタンは、ほぼ時期を同じくして発売された。
発売当時は、バーンスタイン盤のほうが素晴らしく聴こえた。現代のロマン主義の
確立とさえ思ったほどだった。 それにひきがえ、C.クライバー盤は、イゾルデ役
に大きな不満があったし、クルヴェナール役などは悲惨とさえ思えた。クライバー
の指揮にも、必要以上の抑制を感じて、やや失望した。

ところが20年近く経過した現在この2種を比較してみると、圧倒的にクライバー盤の
ほうが素晴らしく聴こえる。 一方、バーンスタイン盤はひどく色褪せた演奏にき
こえてくる。何故なのか? あんなによく聴いたバーンスタイン盤なのに!

もちろんボク個人の意見だけど、発売当初にバーンスタイン盤に聴いた濃厚な現代
のロマン的傾向の演奏というのは、実は感傷主義への危険水域を突破したものであり
、時間の経過、及び個々人のワーグナー体験の蓄積などにより、あれが同時代性を
超越した指揮としては聴こえない、というところに原因ありと思うよ。歌手だって、
ベーレンスやホフマンがそれほどの名唱とは思えない。 一方、クライバー盤では、
90年代以降の彼の抑制(衰退?)された指揮を先取りした演奏を、トリスタンでやって
いたことに初めて気が付いた。悲惨に聴こえたクルヴェナールも、あれは老いたる従者
なのだと理解すれば納得もいく。

以上、マジな冗談。