>>187
ライナーノートから、

ルービンシュタインとの「ピアノ協奏曲第2番」のレコードが大変好評だったので、
RCAは「第3番」の方も録音を計画し、実際にセッションまで組んだ。
この曲は演奏会で取り上げる予定がなかったので、録音のために特別にリハーサルを行うことになった。
第1楽章に入ってしばらくしてから、ルービンシュタインは大きなミスをした。
「第2番」と違って「第3番」は、ルービンシュタインのレパートリーではなかったのである。
ライナーはオーケストラを止めて、支持を与え少し前から演奏させた。

ルービンシュタインは同じ箇所に来ると、もう一度同じミスをした。

ライナーは、今度は何も言わずに、もう一度繰り返させた。
明らかに気が立っていたルービンシュタインは、やはり同じ所でもっと派手にミスをしてしまった。

ライナーは指揮棒を置き、オーケストラに向かって、
「ピアニストが練習をするので、20分間休憩します。」と言った。

むっとしたルービンシュタインは顔を上げて、
「あなたのオーケストラはミスをしないのですか?」と尋ねた。

ライナーは一言、
「しません。」

ルービンシュタインは立ち上がって無言のままステージを去り、二度と戻って来なかった。
そして、ライナーが指揮をするなら、CSOからの出演依頼も断ってしまった程である。
RCAにはラフマニノフの「第3番」の冒頭15分のテープだけが残されていると言う。