仮の題名【ゆきねこさん】
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0001いばけん
NGNGhttp://2ch.net/test/readall.cgi?bbs=main&key=936089504
0002○
NGNG応接室の窓からそんな風景を眺めていたひろゆきは 振りかえって
看護婦さんに話しかけた。
「お茶でも飲みますか?」
返事は無い。彼女はソファに深く腰掛け、膝の上で両手を握り締めたまま
ずっと黙ったままだ。
(昨晩のショックから抜け出せないでいるのか?)
明け方、ICUで術後のイのヘッドと面会してからは落ちついた様に
見えたのだが…
ひろゆきは部屋の隅にあるキャビネットを開け、なれた手つきで緑茶を
いれ始めた。心地よい香りが立ち込める。
相変わらず看護婦さんはうつむいたまま視線を上げない。
「そうそう。あなたも狙われるかもしれません。顔見られてますからね。
しばらくは『イ』と共に行動したほうが安全です。」
大袈裟に溜息をつきながら ひろゆきはテーブルの上に湯呑を置いた。
(女性の扱いには慣れてないんだよねえ)
元の席に腰をおろし茶をすする。また数分間の沈黙のあと、ゆっくりと
看護婦さんは顔を上げひろゆきを凝視し何の前置きも無く話し始めた。
「彼は…彼は病院を出たのですか?あんな体で?!」
怒りが口調に現れている。
「なにか見えたのですか?」
「無茶です!一人でワイルド・ハーフに接触して…動くのがやっとの筈なのに」
ひろゆきの顔つきが変わった。先程までのニヤリ顔が消える。
どうやらもう一人の看護婦さんが昨晩のワイルド・ハーフを見つけたらしい。
「イのヘッドも一緒なのですね?」
恐ろしく冷たい口調のひろゆきに看護婦さんは小さく頷いた。
0003保夫良
NGNGこの病院の特別個室には、キッチンと応接室がついている。
一泊に対して数万という贅沢な病室だ。
個室の患者には、看護婦が常時一人つくことになっている。
他の看護婦と同様、1日3交代制だ。
看護婦さんが、特別個室の患者・ひろゆきの担当になったのが2月前。
交通事故で肋骨を損傷したひろゆきは、すでに能力者だった。
しかも、2つの悪魔的な能力を使いこなしていた。
類は友を呼ぶように、能力者は能力者を引きつけるらしい。
ひろゆきは、看護婦さんに内在する能力にいち早く気付き、
彼の能力をもって目覚めさせたのだ。
その彼の能力とは、ヒトを異常なまでに惹きつける“チャーム”である。
看護婦さんを惹きつけた上で暗示にかけ、能力を引き出すことなど、
ひろゆきにはお手の物だった。
ただ能力者同士では、効果が半減することもあり、
かつ、ひろゆきの裏の顔を知ってしまったこともあって、
看護婦さんがひろゆきを見るスタンスは、
恐怖と憧憬の複雑に入り交じったモノとなった。
「彼なら大丈夫。それに仲間も一緒です。」
湯呑みのお茶をすすりつつ、そう話しかけるひろゆきは、
仲間の安否などには無関心だという目で、お茶の面を眺めている。
そして、幼い子供のような笑顔で、
「ほら見て、茶柱ですよ。これは幸先がいい。」と湯呑みの中を指さした。
0004保夫良
NGNG暑い、ジージーと叩きつける蝉時雨が、只でさえ強い日差しを増幅しているようだ。
マァヴは駅横のコンビニで300mlPETボトルに入った水を4本買うと、
駅前広場のベンチまで急いで戻った。
頭側が木陰になるように寝かされている東京にんじんと、いばけん、
そして、托鉢僧の3人がマァヴの持ち帰った水をそれぞれ受け取る。
水を買ってくるようにいばけんに指示されて、コンビニまで走ったという訳だ。
あの後…マァヴといばけんが
ニセ駅員“井の頭線”とゆきねこ、東京にんじんの3人が消えた方向へ
行ってみると、駐車場の前で東京にんじんを抱えた托鉢僧が「待って」いた。
東京にんじんは人事不省に陥っている。
ほんの数秒間の対峙の後、托鉢僧から話を切り出した。
「気絶してるだけです。彼奴らは車で去りました。。
この娘は無関係だからここへ置き去りにされたようです(Θ∧Θ)/ガァ 」
その風貌からは想像のつかない語り口に、いばけんとマァヴは少々面食らった。。
0005保夫良
NGNGマァヴは口をついて出そうな疑問を飲み込むように、冷静を装って聞き返した。
「無関係…とは?」
僧侶は笠の影からマァヴの様子をのぞき込むと、ゆっくりと話し出した。
「この娘には能力の発露が感じられないから、置き去りにされたんでしょう。
彼奴らの目的は能力のみです(Θ∧Θ)/ガァ 」
托鉢僧のその証言を、マァヴは慌てて聞き返した。
「能力?じゃあもう一人の彼女…ゆきねこさんは能力者だと?」
その通りというように、托鉢僧の笠が大きく縦に振れた。
「くわしい話よりも彼女の処置を」といばけんが話に割り込む。
グッタリしている東京にんじんを気遣っての配慮だ。
マァヴは「あっ」と小さく漏らし、己の至らなさに押し黙った。
3人は近くのベンチへ東京にんじんを運ぶことに決めた。
東京にんじんを抱えて歩く托鉢僧の後をついていきながら、
いばけんがマァヴに耳打ちかけた。
「能力って…マァヴ君、このお坊さんと知り合いなの?」
その問いに「能力者同士は、お互いの力がわかるような気がします。」とだけ答え、
マァヴは再び黙した。
いばけんは、少し視線を地に這わせて「水、買ってきてよ。マァヴ君」と命じた。
「拙僧は“かもん”と申す一介の僧侶だ(Θ∧Θ)/ガァ 」
そう名乗った托鉢僧は、マァブから受け取ったPETボトルを傍らに置いて
次の質問を待った。
買い物に出ている間に、考えがまとまっっていたマァヴは
かもんの笠の中をのぞくように、しゃがみ込んで質問を始めた。
「この能力って何なんでしょう」
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