「市を暴君の手から救うのだ。」とメロスは悪びれずに答えた。
「おまえがか?」王は、憫笑(びんしょう)した。
「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」
「言うな!」とメロスは、いきり立って反駁(はんばく)した。
「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。
王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」