その日、競馬でボロ負けした俺はフラフラと場外馬券場を出た。
見渡すと、東京ドームの周りは若い女でごった返していた。どうやらジャニーズのライブがあるらしい。いつもは目の前の水道橋駅を利用する俺だが、この際だから後楽園駅まで歩くことにした。

若い女の人波をくぐり抜けて後楽園駅に着いた俺はトイレに向かった。
例によって女子トイレには長蛇の列が出来ていた。
「俺は男で良かった」と思いつつ、若い女の行列の脇をすり抜けてトイレに入った。

その瞬間、俺の体は凍りついた。
個室のドアが開き、出て来たのは中学生くらいの女の子だった。

「間違えた!女子トイレだ!」

だが「間違えた」では済まないだろう。女の子は悲鳴をあげ、逃げ道は行列に塞がれ、大騒ぎになって俺は人生最大の汚点を残すことになるだろう。

その時、俺の視界に飛び込んで来たのは麗しき男子用小便器だった。
「俺は間違ってない!!」

俺は、感激の余り小便器に抱き付き頬ずりしたい衝動を辛うじて押さえ込んだ。
だから男子トイレに女が入ってくるのは、良くないと思う。