>>591
世界の中心から世界の絵は描けない。片隅にいるから、
全体を眺められ、世界の絵が描ける。みんなそれぞれ違う
片隅にいて、それぞれ異なる風景を見て、それぞれ違う経験と
身体と照らし合わせながら、それぞれ異なる世界を描く。
絵を描くことには、このような知性のあり方が凝縮されている。

『この世界の片隅に』は、新しいタイプの反戦映画として
片付けてしまうにはあまりにもったいない。特にデザインや
美術を職業とする方々や美大生に、絵を描くことの意味を
考えながら観てもらいたい。そこには近代化が極まった
21世紀に暮らす私たちにとって、未来のビジョンを描くために
大切な知性のあり方が示されているのだから。