被災少女、「君の名は。」を見て苦しかったと打ち明ける。


朝日新聞 2016年12月3日付夕刊より

「忘れたくないものは・・・」

被災した少女 複雑な思い

大ヒット映画「君の名は。」。新海誠監督は作品の背景に東日本大震災があったと
明かしています。震災で肉親を失った少女に映画の感想を聞いてみると、複雑な思
いがのぞきました。
映画の主人公は、田舎町に住む女子高生の三葉と都心で暮らす男子高校生瀧。2
人は夢の中で心と体が入れ替わり、徐々にひかれあいます。彗星が地球に接近し災
害を思わせる出来事が進む中、終盤2人は大切な何かを忘れそうになります。
小学生の時に岩手県宮古市で震災に遭い、津波で祖母を失った女子高生(17)は、
「どんなに大きいことがあっても、人は忘れちゃうんだなって思って苦しかった」
と打ち明けてくれました。
震災後、盛岡市に引っ越しました。同じ県内での沿岸部から車で2時間ほどかか
ります。クラスに津波被災者はおらず、震災が話題になることもほぼないそうです。
映画を見終わった盛岡の友人の反応にも落差を感じたそうです。LINEやツイッ
ターで発信されるのは「あんな恋したい」「曲がめっちゃいい」「映像がきれい」。
共感しつつ、大切な人を失うことに引きつけて考えた自分の「忘れないでってこと
じゃないかな」という感想を発信するのはやめました。「かわいそう」と同情され
るのが嫌だったからだそうです。
「忘れるのは仕方ないのかな。でも、かすかでいいから震災のこと心のなかに残
っていてほしいと思っちゃった」。忘れちゃいけないと強く決意しても、忘れてし
まう。自分にも覚えがあることなだけに、少女の声が胸に刺さりました。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S12689848.html