>>731
オタキングの考察

この隕石の落下は、さっき話した、おばあさん、お母さん、三葉のような繰り返し構造と同じように、過去に何度もあったことなのかも
しれない。1200年前、2400年前、3600年前というふうに、隕石の落下も繰り返されているのかもしれない。

 なぜ、このような繰り返しがあるのかというと、かつて地球に落ちた隕石の欠片が、太陽系の外を回っているもう一つの欠片に「会い
たい」と思ったからなんですね。つまり、この物語は“七夕”なんですよ。二つに分かれてしまった者たち、それは人間でも隕石でも同じ
なんですが、「もう一度お互いに会いたい」という願いを持った者が奇跡を起こす。ただ、二つの星の「会いたい」という願いは人間界
にものすごい迷惑をもたらす。なので、三葉の一族に超能力を与えて、せめて土地の人間がその場から逃げ出すことが出来る隙を与えて
くれたのかもしれない。

 これ、太陽系という視野で見るとこれだけの話なんですが、太陽系自体も巨大な円周軌道を取っています。そして、この巨大な円周軌道
も銀河平面に対して回転しています。なので、太陽系というのは、細かい渦巻状の回転をしながら大きな渦巻きの周りを回っているわけ
ですね。この渦巻状の太陽に出会うために、ティアマト彗星の軌道もかなり複雑なものになっていると思われます。

 この銀河上の動き全体が、お話のテーマ「結ぶ」なんです。銀河平面の中で見た太陽系の軌道と、それに対して絡み合うように進んで
いるティアマト彗星の軌道という全体が、大きい一つの糸を作っている。その中で、1200年に一度、地球に接近する彗星が、互いに
「もう一度、会いたい、会いたい、会いたい」と思っている。さらにその中で、一度別れた相手ともう一度会いたいと思う人間が、心が
入れ替わるという奇跡を起こして。それが代々受け継がれていく。

 こんなふうに、全体が「糸を結って紐を組む」という構造で出来ている。つまり、新海誠としては、これまで作り続けてきた宇宙モノ
の集大成としてやっていると思うんですが、この辺りの説明を全部あきらめて、ベタなドラマに集中したのが「すげぇよ、新海! よく
割り切ったな!」と思います。